KOBE愛犬Report No.2

 

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椎間板ヘルニア 恐るるに足らず

 

◆・・・・・椎間板ヘルニアにだまされたらアカン!

ある日突然自分の飼っている犬の後肢が立たなくなり、あわてて近くの獣医さんに連れていくと、椎間板ヘルニアと診断されてすぐに手術を勧められる。飼主はビックリして「先ず手術を!」となってしまう。しかし脊椎を手術した場合の成功率は10%にも満たない。それを患者に言う先生は少なくて、中には100%成功のようにいう人もおり、本当に困ったものだ。一旦手術をしてしまうと、大半の犬は立てないのが実状で、それらの患者さんが私の所へ来る。脊椎にメスを入れた犬の立つ望みはほとんどないのである。

いずれの獣医さんも先ずレントゲンを撮る。そしてここが少しおかしいでしょうと患者さんに説明し、わからないままに患者さんもうなずく。中にはレントゲンも撮らずに後肢が少し跛行(はこう)していると、計ったように椎間板ヘルニアという先生もいて、こんな先生は何をか云わんや…。私がこれらのレントゲン写真を見たところ椎間板ヘルニアと診断できるのはほとんどないのだが、専門知識のない患者さんにとっては、ヘルニアと言われれば信用するより仕方がない。

しかし明日からは背骨のレントゲン写真を見せられ、「ここがおかしいですよ。」といわれても、勇気をもって反論してほしい。図で説明しよう。図の印が椎間板、これらの間隔がほぼ同じであれば問題はない。その間が広くなっていたり狭くなっていたりすると、椎間板ヘルニアということになる(写真参照)。その他にも、脊髄軟化症といったような症状により脊柱を手術しますと言われても、暫しの時間の猶予を持って考えていただきたい。そのようなこともあるかもしれないが、非常に少ない症例でもあり、まずは鍼でと考えてほしい。何度もいうが、一度メスを入れるとその犬は二度と立てないことが多いのだ。

私は手術ではなく鍼を打って立たせている。成功率は98%、残りは治療途中で来なくなって経過が不明なもので、完治を見届けられた犬が98%なのである。

 

◆・・・・・犬の椎間板ヘルニアを信じたらアカン!

犬の椎間板ヘルニアというようなものは、実際にはほとんどない。人間は直立形の脊椎しているので、背骨の方向に重力がかかり、ヘルニアを起こすだろうが、犬は地面と背骨が平行のまま生活をしているから簡単にヘルニアは起こり得ないのだ。一般に椎間板ヘルニアといわれて私の病院に来る犬の大半はギックリ腰の診断である。ギックリ腰とは脊柱をとりまく筋肉の異常によって起こる病気で、一方椎間板ヘルニアは骨の存在位置の病気である。だからギックリ腰は鍼で治るのであって、骨の位置の病気であるヘルニアを鍼で治すことは非常に難しい。しかしまれに、明らかな骨の異常であっても治った例はある。これらのヘルニアの原因は外部から何らかの異常な力が加わったことによる。例えば高所からの転落とか、フリスビーを追って着地に失敗したとか、自転車に乗せていての転倒とか、自動車事故とかだ。ヘルニアが鍼で治るのは、外的な要因による骨の異常を、その周りを取り巻く筋肉が鍼の効果によりカバーできたからである。

ギックリ腰で私の所に来院される患者さんのうち、25%の割合で膝蓋骨の脱臼が認められる。この場合は、鍼の治療により歩けるようになってから、膝蓋骨の整形手術により再発を防止している。先天性の脱臼が多く、そのまま34年膝の痛いまま生活し、その結果腰に無理がきてギックリ腰を併発させている。

 

◆・・・・・腰の手術はアカン!

私が手術をお勧めしないのは術後犬の安静の問題である。人間で背骨を手術すると、最低一週間は絶対安静を求められる。犬は術後麻酔から醒めたら絶対に動く。安静を求めるのは無理な相談だ。だからせっかく手術自体が成功しても、安静具合で失敗に終わってしまう。

椎間板ヘルニアといわれても、ギックリ腰だといわれても、とにかく鍼で治すことを第一に考えていただきたい。手術では立てないことが多く、鍼では100%に近い治癒率である。犬に大きな負担をかけず苦しめずに治ればこの方が良いに決まっている。経済的な負担も然り、一回の手術料金は20万〜30万円が相場だが、鍼治療では一回7,000円の治療で15回程度が目安となる。

「鍼でなんか絶対治らないよ。」と言われる先生がたくさんいるが、やってもみないし見たこともない人たちで、全く不可解なことだ。中国4000年の歴史を誇る東洋医学でこの症状は治っていく。治療している私自身が不思議に思うほど効くのだ。

 

 

 

【椎間板ヘルニアのレントゲン写真例】

 

Mダックス,6才、他院にて椎間板ヘルニアの診断とのことであったが、全く問題なし。

 

◆ コーギー、フリスビーを追っていたが着地に失敗、椎間板ヘルニアを発症。

 

◆ シーズー、高所よりの転落、椎間板ヘルニアを発症。

 

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